第1章 「少しの勇気と沢山のズウズウしさ!」怒濤の空港編
ある日、新聞を広げていた知人がなにげなく言った
「ジャッキー・チェンが来日するんだってね?」
私は突然言われたその一言に思わず凍り付く… 
「うっそぉ〜!本当に?何時来るの?何しに来るの?」
こうなれば相手を質問攻めである。
「今日のスポーツ紙に載ってるよ!映画の宣伝でしょ?」
知り合いが読んでた新聞を引ったくり、首を突っ込んだ私は、配給会社をそこで知った。
「アレッ?東映じゃないんだ?東宝東和?東宝なら知ってるけど・・・」
私は映画にうとく配給会社の名前すら把握していなかった。
宣伝(バトルクリークブロー)で来るのなら、行けば見れる?生ジャッキー!粉末脳みそのクセに考えるより手が早く受話器をにぎっていた。
「すみません!東宝東和の代表番号知りたいんですけど!」そう、勝手に104に電話していたのである!

いざ!東宝東和!
「すみません、新聞見たんですが、ジャッキー来日するんですか?」
「担当の者に替わります…」「替わりました。ジャッキー来日しますよ!○月○日X時着の◎便で成田に着きます。時間が有ったら成田に来て下さいね!ホテルは帝国ホテルです」

たまげた!聞きもしないのにこんなに詳しく教えてくれるなんて・・・って事は行ってもいい!って事だよね?

「あの〜担当者さんの名前が知りたいのですが・・・」
「私、宣伝部・担当の飯田と言います」

これが私と飯田さんの記念すべき初電話トークだっだ。

「行きます!成田!」
私はお礼と自分の名前を告げて電話を切った。

友達と2人で初成田空港!チェックが厳しいと聞いていた私たちは、出発便の案内を見て、見送りと偽って空港に入った。
今もそうだと思うけど、当時芸能人が出入国するだけで、ファンらしき人達はシャットアウトされていた。

初来日のジャッキーに対しどれだけのファンが来るのか解らなかった為、来日するのだから出迎えで行ったら入れてもらえないと思い、(現に拒否されていたファンの子を見たことがある・・・)見送り作戦に出たのである。粉末脳みそのわりには、こうゆう時だけ悪知恵が働く(笑)

私はまず飯田さんなる人を探したが、顔をしらない・・・そこへ取材の人達が来て
「ジャッキーの出迎えに来たの?1枚写真撮らせてくれるかな?」
と、写真を撮られた記憶がある・・・

すかさずそのカメラマンを捕まえて
「東宝東和の飯田さんて知ってます?」
「あぁ・・・知ってるよ!」
「私、顔知らないので・・・」
「居たら教えてあげるよ!」

カメラマンも取材に来ているのだから忙しいだろうと余り期待もしていなかったのだが、暫くするとその人は私たちの所に戻ってきて
「居るよ!あの人!ジャッキーも一緒!」と教えてくれた。
教えられた方に目をやると・・・ゲッ!なんだアレできそこないの武田鉄也・・・!と思うまもなく「キャァ〜!ジャッキ〜〜〜!」と、何処に居たのか・・・ファンと記者・カメラマンがゴチャゴチャになり、追っかけした事ない初心者追っかけ隊が仕事で来てる取材陣より我先にと(あれは見物だった)ジャッキー諸共モミクチャになりながら駐車場へ・・・

行っちゃったよ・・・写真は一応撮ったけど・・・
さて、これからどうしよう?余りにもあっけなく来日空港イベントが終わってしまった。

あっ!そうか!帝国ホテルに行けばいいのか・・・

あぁ・・・飯田さんて・・・やっぱり業界の人間は変わってる・・・
それが第一印象でした・・・電話の声はステキだったのに・・・(笑)


第2章 「親衛隊とガンの飛ばしあい」日比谷映画館編

帝国ホテルに着いた時、表玄関からジャッキーが入って行く所を目撃!凄いラッキー!でも、追っかけ初心者の私達は泊り客でない者入るべからず!と、勝手に思い込み初日はそれでおしまい!(ゴメンナサイ期待はずれで)

さて、昔の日比谷映画館は現在のシャンテがある所にドッデ〜ンと建っておりました。

映画のイベント来日なので、場所も日比谷映画館前!のはずが・・・?アレレ・・・?行ってみても何も無く来日記念イベントなのにずいぶん寂しいなぁ〜と思いつつ時間の来るのを待っていた。だが、やがて時間が近づくにつれ、どんどん若い女の子が増えてゆき「ジャッキーってこんなに人気があったのかぁ〜」と嬉しいような悲しいような(笑) そのうち映画館通りの両サイドに女の子達が並びだした!(スッゲー数!)

ところが『こうしちゃいられない!』とばかりに私と友達が前の方へ歩み寄ったとき「そこ!さがって!」「後ろにいって!」と、凄い形相でいきなり怒鳴られてしまった。
見ると同じジャンバーを着た女の人数人が音頭を取っている。(この人達しスタッフか?それとも・・・ファンクラブの上層部?)
私と友達はそんなのお構いなく、ズンズンと前に行こうとしたら、「邪魔よ!さがって!」なんぞと言われた
ムカッ! おのれら何様じゃぁ〜!だって、みんなのジャッキーでしょ?ちゃんと早く来てたのに、何で見ず知らずの女に命令されなきゃいけないの?

そのうち列の端から悲鳴が上がった!
来た?! う〜〜〜ジャッキー!!!???って アレ?誰?この人・・・? 出てきたのは女性である。
でも、列をなして並んでいる女の子達は黄色い悲鳴をあげている・・・ そう「宝塚」だ!(笑)
私はヅカの親衛隊とガンの飛ばし合いをしていたのであった・・・ (-.-;)

黄色い悲鳴があがる中、一人のタカラジェンヌが優雅に通り過ぎる。その周りをさっきのジャンバー軍団が並んでるファンが前に出てこないように眼を光らせている・・・
ヅカは昔からファン同士の規律が厳しいらしいが、あそこまで縛られるとチョット・・・同じ人のファンなのに・・・と、思ってしまった。
フン!紛らわしい!(って勝手にこっちが間違えたのたが)さぁ〜今度はこっちの番!早く来い来い!ジャッキー!
 
 

第3章 「なだしはじゃきぃ・ちぇんです」ジャッキー生ボイス編
イベント前日、来日記者会(帝国ホテルだったと思う)があった。が、私はそうそう会社を休めなく、不参加だった・・・
記者会見にはファンの子も入れてもらえたと記憶している・・・(初だったので、人があまり集まらなかったのだろうか・・・?)

さて、ヅカの親衛隊とガンの飛ばしあいをし、時間をムダに過ごしてしまった後、日比谷映画館に戻ってみるとスタッフの人が(今度は本物!)
「ジャッキーのイベントに来た方はこっちへ来て下さ〜い!」と、呼びかけていた!
ゲッ!成田と一緒である・・・ところが、一体何処から湧いて出てきたのか無数の男女(イヤ!男性の方が多かったと記憶している・・・)がゾロゾロとスタッフの周りに集まり出した!
スタッフは、バスガイドよろしく片手を上げて、みんなを誘導して行く(一体何処へ行くんだ?)
日比谷映画館を背にお堀の方へ歩く奇妙な団体!通りの角に・・・なんじゃ?こりゃ?台が置いてあった・・・まさか・・・コレが特設会場かぁ〜?せ・・・せこいゼ!
だが、その台を囲むように待っていると・・・ついにジャッキー登場!キャァ〜〜生ジャッキ〜!
当時彼は26〜7だったと思う・・・ちょっとロン毛で可愛い青年でした!(笑拳の時よりは短い)
そしていよいよジャッキーのお言葉!「なだしは、じゃきぃ・ちぇんです」
な・・・何?なだしって・・・もしかして、「私はジャッキー・チェンです」と「名前はジャッキー・チェンです」が混ざっちゃったの?この「なだしは」で始まる挨拶はズゥ〜っと続いた。

私はこの時初めて生のジャッキーの声を聞いたのだが・・・ハッキリ言ってショックだった!
モチロン、ジャッキーの声はモンキーシリーズの映画の声しか知らなかったわけで、何を隠そうあの声が好きだったのである!
それが・・・生ジャッキーの声は太く低く・・・思わずウッソォ〜!と、のけぞったのであった。正直悲しかった・・・違ぁ〜う!ジャッキーの声じゃなぁ〜い!ってね(笑)

さて、握手会やら型の撮影会が一通り終わり、何処に飾るんだかアメリカを真似て手形の「型押し」が始まった(笑)本当に、今あのジャッキーの手形は何処にあるんだろう?
それも無事終わり、イベントもおしまい!で、ジャッキー退場!一体何処へ?ジャッキーは台を降りると、ビルの角を曲がって行った・・・
車に乗るのかな?と、角を覗き込んだら・・・ギャハハハ普通に歩いてるよ!歩道を・・・スタッフと楽しそうに!
そう、帝国ホテルとイベント台は目と鼻の先!彼はホテルからテクシー(死語)で来て、テクシーで帰っていったのである・・・
なんだかなぁ〜
 

第4章 「おじさん、それはないだろう」TVジョッキー編1
ジャッキーが日本のTVに生出演したのは、確かこれが最初じゃなかったかな?
現在ではもう放送されていないが、日曜午後1時から日本テレビで放送されていた「TVジョッキー」と言う番組である。土井まさるが司会をして、奇人変人と言うコーナーがあり、白いギターが貰えるというやつで、のちに司会はビートたけしになり番組名も「スーパージョッキー」と変わったやつである。余談だが、奇人変人コーナーで、ゴキブリを食って死んだヤツがいたというが…(本当か?)

TVジョッキーは前もって観覧希望のハガキを出し、その抽選に当たらないと見れないという番組だった。
だが、ハガキがなくて、入れなくても「入り」と「出」さえ見れればヨシ!と、言うのが『追っかけ』である。
案の定、私が日テレの前に行くと他にもハガキ無しのファンが数人たむろしていた。

ジャッキーの「入り」をしっかり見た後、正面玄関前に居た私達にショッキングな出来事が起きた(今、思い出しても腹立たしい!)
ジャッキーが玄関前に居る私達を見つけ、手を振って笑顔で横切って行った・・・そこまでは良かった!
ところが、このジャッキーの後に一人の男が現れた。ちゃんとスーツに身を包んだ男性である。彼は私達のほうに向くと、ニヤニヤしながら私達の方へ歩み寄り、内ポケットから何やら紙の束を取り出した。そう!ハガキと交換して貰うTVジョッキーの入場券である! それをだ!ヤツはその券が無くて入れない私達の目の前で破り去り、ゴミ箱に捨てたのである!(信じられる?)そして、また私達を見るとニヤリと笑いジャッキーの後を追うように、私達の前から消えたのである! チクショォー!顔はもう忘れたが、あの行動は今でも鮮明に覚えている! 入れない組のファン数人は(私も含めて)目の前の光景が信じられず、しばしその場から動けなかった。(何でこんな悔しい思いをしなきゃいけないんだろう・・・?)

さて、ジャッキーは番組終了までは出てきてくれない。集まっていたファンの内何人かは、TV局を後に何処かへ行ってしまったが、残った数人で(みな初対面)TVの見れる喫茶店を探そうと、行動を共にした(日曜の麹町は開いてる店が殆どなかった)。
ようやく1軒の喫茶店を見つけ、TVを見せてもらう事にした。 行動を共にしていた子の一人が「実は友達が3人中に入ってるんです!だから、中の事は後で聞けますよ!」と、教えてくれた・・・この教えてくれた子と、のちに長い付き合いになるとはこの時お互い知る由もなかった・・・
 
 

第5章 「祝!!初TV生出演」TVジョッキー編2
TVジョッキーの番組がいよいよ始まった・・・
ジャッキーは他の出演者の人達と並んで、ニコニコしながら(本当に嬉しそうに・・・)座っている・・・

最初の歌が終わり、奇人・変人コーナーが終わり、いよいよジャッキーの出番です!
司会の土居 勝(まさる)がジャッキーを紹介して、前の方にうながした・・・
出て来たのは・・・上から風船が吊り下げられた物(一体何をするのか?)
ジャッキーを見ても、本人はニコニコ (^-^)
土井勝がジャッキーに跳び蹴りで、このぶら下がった風船を割ってもらうと言っている・・・
そして、風船割が始まった。ポ〜ンと、当たったけど、風船は割れなかった・・・その途端
ガハハハハ・・・と、土井勝の笑い声!(人の失敗笑うならテメーがやってみろ!)見ててカチンと来たファンは少なくないと思う!
ジャッキーもニコニコしていたけれど、この笑い声には多少なりともカチンときたようである!
2度目の挑戦の時・・・顔つきが変わったのがハッキリ分かった!
間合いを取って・・・ 次の瞬間すでに風船は割れていた!おみごと!
その時のフォームの綺麗なこと!「スパーン!」って言う音かな・・・
そして、いつものジャッキースマイル!
後は、2〜3の質問のやり取りで、ジャッキーの出番は終わった。

番組のエンディングに土井勝がジャッキーに声を掛けた
「ジャッキー!明日もまた来てくれるかな?」
その時の通訳はゴールデンハーベスト社極東支部の「タイさん」
タイさんの通訳で、ジャッキーはニコニコしながら「ハイ!」と答えてくれた。
すると…この司会者は「ふ〜んホントに来てくれるんだ!でも、明日は番組やってないんだよねぇ?!」と、ぬかした!
私はこれで、土井勝が嫌いになった!もともと好きでもなかったけどね!

この頃の日テレは私には悪い印象しか残っていない・・・
 
 

第6章 「ジャッキーまたきてね」お見送り編
あれよあれよで、ジャッキーの帰国する日になった・・・

私は絶対見送りに行きたいと有給休暇を取った。
前日ジャッキーに何かあげたいと、いろいろ考えたが何も浮かばない・・・
何か日本的な物をあげたい!日本的な物・・・相手は男性・・・何?一体何をあげたらいい・・・?ウィンドショッピングをしている時にある物が目に飛び込んで来た!「これだ!」私はそれを買い求め、明日にそなえた。

ジャッキーの来日を教えてくれた知り合いが成田まで車を出してくれると言う・・・が、こうゆう時は車ほど当てにならないものはない!私は電車で行きたかったのだが「車だと入るのにも、そううるさくないよ」との事だったので、お願いした。そして…失敗した!(爆)
そう「渋滞」に巻き込まれたのである!ふぇ〜ん!どうしてくれるんだぁ?!刻一刻と、時間は迫る!私が行くまで待っててはくれない・・・(ジャッキ〜!)

空港へやっとの思いで辿り着き、空港内を走り回った・・・そう!女の子が多くたむろってる場所を目で探しながら・・・
「きゃぁ〜ジャッキー!」その言葉に身体が反応する!「こっちだ!」
柵の前に女の子達が20人ほど、一列に柵に阻まれながらも、同じ方向に手を振っている。そう、ジャッキーはすでに、エスカレーターに向かって歩き出していた(間に合わなかったか・・・)

私は昨日買ったプレゼントを振り回し、大声で「ジャッキー!!」と、叫んだ(ゼェゼェ・・・)
遅れて来た私にファンの子が気がつき、ジャッキーの名を呼びながら、みんなが私を指差した。

私はもう、本当にゼェゼェしか言えなかった。だが、顔を上げると・・・何とジャッキーがニコニコしながら戻ってくるではないか♪そして私の手から、プレゼントを取ると片手を出してきた。えっ?あっ!握手してくれるんだぁ・・・!諦めず走って良かった。その次の瞬間である!握手したまま引き寄せられ、私の頬に何やら冷たいものが・・・そう、ジャッキーのキスである。

ジャッキーはまたみんなに手を振って、プレゼントの箱を高々と上げながらエスカレーターに乗りやがて見えなくなっていった。

私はと言うと、恥ずかしながら、膝がガクガクして、柵に手をつき踏ん張ってないと、その場に崩れ落ちる状態で、こんな経験は初めてである(笑)
隣に居たファンの子が心配そうに「大丈夫?でも良かったね!ジャッキーにキスしてもらえて♪」と、言ってくれた。そして、やっと我に返った。
あぁ〜ジャッキー帰っちゃったんだね・・・気に入ってくれるかな?私のプレゼント・・・箱の中身は「せった」である(笑)

ジャッキーも帰り、自分も帰ろうとした時、ファンの一人に声を懸けられた。
「あのぉ〜出迎えの時も来てましたよね?でもって、日比谷でバトルクリークブローの看板前で蹴りの構えで、写真撮ってた方ですよね?」
ゲッ!出迎えはヨシとしても、何で看板前で写真撮ってた事まだ知ってるんだぁ??うぅぅ・・・誰に見られてるか分からん!
しかたなく「ハハハ・・・私です・・・」と、答えた。

この看板前写真!知り合いが、ジャッキーの香港事務所に遊びに行くと言う事で『万が一事務所にジャッキーが居たら、写真にサイン貰ってきて!』と、預けた事がある。
帰って来た!と、言う事で楽しみに会いに行ったら・・・
「ジャッキー居たんだけどゴメン!忘れた!」と言う。
「まぁいいや!じゃぁ写真は?持って帰って来たんでしょ?」
「置いてきた・・・」
「ゲッ!何で?あんなのジャッキーの所に置いといてもしょうがないじゃん!」
「うん・・・実は、ジャッキーが居たから来日した時の写真渡して、私達は事務所内見れた事で感激して騒いでたら何かジャッキーが『この最後の写真に写っているのはだぁれ?』って聞いてきたんだけど、その時は何のことだかわかんなくて無視しちゃったんだよね・・・後で考えたら、るか@の写真を来日写真の一番下にしてジャッキーに渡したんだった。ごめん!」

あんな片足上げた写真を・・・サインは無理でも持って帰って来て欲しかった・・・トホホ・・・頼んだ私が悪いやね!やれやれである(笑)